2007年05月20日
追悼
私の最も好きな作家の藤原伊織さんが、17日午前10時14分、食道がんのため東京都品川区の病院で亡くなられた。「シリウスの道」を読んだときに、これは最後の作品だとわかった。藤原さんの作品を読み続けてきた人にも感じられたはず。内容のところどころに過去の作品がリフレインされるような描写が、ちりばめられていた。自分の最後の作品を総まとめしたような味付けだ。それに舞台も藤原さんが長年勤めていた広告業界である。「渾身の。。。」という言葉があるが、まさにそれを感じた作品だった。ご冥福をお祈りします。
藤原伊織さんと言えば「テロリストのパラソル」で有名だが、私は「ひまわりの祝祭」も好きかな。藤原さんの何がいいのかと言うと "文章のうまさ" に尽きるのではないだろうか。「ん?」と思って読み返すようなところは一つもない。伝える「うまさ」という意味ではトップランクだ。小説を読んでいて気分が乗ってくるときというのは、主人公や登場人物の顔や風貌が思い浮かんでくるときだ。あたかも頭の中でTVドラマが展開されているような感じ。やたら細かい描写は、私にとっては読み手としての自由度がなく、ちょっとしんどいかな。そのあたりが藤原さんはうまかった。適切な言葉でバッチリはまるので、主人公の顔が思わず浮かんでくる。私の中では、松本清張先生もその部類に入る。また藤原さんは、わかりやすさに加えて文章に魅力を感じた。本が好きな人にはわかると思うが、読んでいて「ゆっくり読みたくなる」文章を作る人だ。「ひまわりの祝祭」を読んでるときは、ページ数が少なくなるにつれ「もうじき、終わるんかいな。。。」と思いながら、徐々にスピードを落としながら読んだものだ。しかし、残念だなぁ。病床から復活して、また書いてくれないかなぁと切に願っていたのだがなぁ。電通にお勤めしながらの執筆活動ゆえに、作品数は数えるほどしかありませんが、存分に楽しませてもらいました。ありがとうございました。
投稿者 D : 2007年05月20日 20:53
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