社員技術ブログ

Oculus Quest 2 エリートストラップの破損、ひび割れを交換せず補修する方法

ワイドソフトデザインの(ある意味)工作員のT.Kです。

ある日の事、「副社長からT.Kに何か『お願い事』があるらしいよ」と耳にしました。

ドキドキしながら待っていると、副社長が何やら怪しいブツを取り出して…

「直せ」※意訳です。

見ると、そこにはひび割れたEliteストラップがありました。

エリートストラップ (Elite Strap) は壊れやすい?

これはMeta Quest 2というVRヘッドセットのアクセサリー「Eliteストラップ」というものです。

標準装備のものに比べ、調整ダイヤルを回すだけで簡単にフィッティング出来るという優れもののようです。

構造を見てみましょう。

サイド部が樹脂製になっており、スマートな印象を受けます。

が…

破断こそしていないものの、結構なクラックが入っています。見えにくいのですが、マーカーで追記した部分もクラックです。

ヘッドセットとの接合部は

のようにリブがあり、たわみにくくなっています。付け外しの際には、破損個所のあたりに内向きまたは外向きの力が加わる事になりますね。

また、先の画像でお分かりの通り、接合部は少し捻られています。

ダイヤルで調整をすると径が変化するので、破損個所のあたりには捻る力(+内向き/外向きの力)が作用すると思われます。

推測の域を出ませんが、これらが原因でクラックが入ってしまったのではないかと。

調べてみると、ネット上でも「折れた」「割れた」などの事象が散見されます。

プラリペア/プラリシートとは

今回のブツは「保証が切れているが、捨てるには忍びない」という事ですので、不可逆な補修を視野に考えます。

破損部の素材についてですが、素人目にはABS樹脂のように見えます。

今回のような場合、接着剤では強度が確保出来ません。強度と柔軟性を維持出来そうな以下のケミカル製品を使用します。

プラスチックの補修と言えばこれですね。実際に使用するのは初めてです。

また、ガラス繊維のクロスにプラリペアがコーティングされた、こちらも使用します。

これらの使用方法についてはメーカー公式サイトで丁寧に説明されています。

エリートストラップ (Elite Strap) の補修方法

破損状況から、以下のような手順で補修を行います。

 

①クラック部の仮止め

クラック部が開いていて、元々の形状を維持出来ていないので、まずはここを何とかします。

作業性を考えると、瞬間接着剤やテーピングでも良いのかも知れませんが、折角ですのでプラリペアを使用します。

数ヶ所を貫通しないよう、リューターで削って…

プラリペアを公式サイトにあるニードル法で充填します。硬化するまで暫く待ちます。

 

②クラック部分の補修

元々の形状に復活しましたので、本補修を行ないます。

先程行った仮止め「以外の」クラック部をなぞるように、リューターで削っていきます。

クラック部全てにプラリペアをニードル法で充填し、硬化するまで待ちます。

クラックが多い場合「削る→充填」を小分けにしたほうが良いかも知れません。

 

③補修部の下地処理

クラックがストラップ内側に集中している事を考慮して、プラリシートを内側のみに貼り付けます。

貼り付け部をサンドペーパー(150番)で均します。※予めリューターで大まかに均しています。

念のため、貼り付け部をアルコールで脱脂します。

 

④プラリシート貼り付け

プラリシートですが、ハサミとカッターでこのような形にカットしてみました。

プラリシートに液剤を塗布してペタリ。しっかりと密着させます。

…が、位置合わせが難しい。

補正しようと保護フィルム越しに力を加えると、コーティングされているプラリペアが、フィルムに引っ張られて剥がれてしまいます。

保護フィルムを剥がしてから、位置合わせ。なじませてから溶剤をたっぷり染み込ませると良いかと思います。

付属のポリエチレンフィルムで圧を掛けると、やはりプラリペアが剥がれますので、このあたりは改善して欲しいなあ。

補修してみて

作業中に補修対象が追加されました(笑)

プラリペア、プラリシートのようなケミカル製品が存在している事に感謝ですね。

今回のようなケースだと複数回の補修に使えるので、コスト面でも悪くありません。

ただ、色々と加減が分からなかったので、私のように初めて扱う場合には、事前に練習したほうが良いかと思います。

あとはEliteストラップがどれだけ持ちこたえてくれるかですね。ああ、予備だとすれば使用頻度は低いのかな?

補修を繰り返して、どんどん肉厚になる事が無いよう、祈っておきましょう。

最後に

今回の補修は、趣味と実益を兼ねた(笑)取り組みとなっております。

推測や補修のアプローチなど、正しいかどうか実際のところ、良く分からないというのが本音です。

あくまで一つの補修事例という事をご理解下さいますよう、お願い致します。

それでは良き工作…あ、違った。VRライフを。

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