2024年度の大河ドラマが「紫式部」をテーマにした『光る君へ』だと発表されました。
紫式部といえば、華やかな宮廷の恋物語を描いた『源氏物語』の作者で有名ですが、 日記を読み解いてみると、華やかだけではない、今の私たちにも少し似ている?苦労話が見えてきます。 大河ドラマ内では時の権力者・藤原道長との恋にも似た関係を描くとのことですが、 |
紫式部と藤原道長の関係
紫式部
平安時代の歌人・作家で藤原家の女性。著書『源氏物語』では、光源氏を主人公に平安貴族の恋愛や栄光を書いた。
源氏物語が藤原道長の目に留まり、道長の娘・彰子の使用人兼家庭教師となる。 |
藤原道長
自分の娘を4人の天皇に嫁がせ、孫を天皇に即位させることで、権力を手に入れた人物。
天皇家を前にしても恐れない豪胆さとずる賢いほどの知性をもち、 |
和歌のやり取りは無茶ぶりの連続!?
和歌は詠まれた歌に対して、すぐに歌を返すのがマナーでした。
紫式部の日記『式部日記』には雇い主の道長から色んな状況の中で「歌を詠め!」と言われていたことが記されており、
紫式部は道長のことは敬っているけど少しウンザリしている?様子です。
他にも日記には宮中の同僚や同時代の女流作家への批評や陰口が書かれており、紫式部は偏屈で愚痴っぽい性格とも言われています。
~Episode1~ 女郎花(おみなえし)
朝早くに道長さまが部屋に来て、女郎花を差し出しながら「おや、歌の返事が遅いんじゃないか」って言うの。 私は寝起きの顔でとっても恥ずかしかったけど、そう言われちゃあ書くしかないわね。 女郎花 盛りの色を 見るからに 露の分きける 身こそ知らるれ
道長さまは「おお、早いね」と笑った後(早く詠めって言ったのはそっちなのに!)、このように歌を書いたの。 白露は 分きても置かじ 女郎花 心からにや 色の染むらむ |
~Episode2~ 五十日祝いの夜の酒宴
道長さまの孫(彰子さまの息子)敦成さまの誕生50日の夜会で、私は物陰に隠れていたのに、 酔っ払って機嫌のいい道長さまにみつかり「歌を詠まないと許さないぞ!」って言われたわ! いかにいかが かぞへやるべき 八千歳の あまり久しき 君が御代をば
あしたづの 齢しあらば 君が代の 千歳の数も かぞへとりてむ |
~Episode 3~ 源氏物語について
彰子さまの部屋にあった源氏物語を読んだ道長さまが、梅の実の下に置いた紙に歌を書いたの。
すきものと 名にしたてれ 見る人の 折らで過ぐるは あらじとぞ思ふ
人にまだ 折られぬものを たれかこのすきものぞとは 口ならしけむ
私、流石に「心外だわ!」って、道長さまの前で言っちゃった! |
※細かいニュアンスは、個人のイメージです。
「紫式部」は本名ではない?
当時女子の本名を公にするのはよくないとされていたため、紫式部だけでなく平安時代の女性の多くは本名がわかっていません。
紫式部はお仕えの際、藤原から「藤」、家族の役職から「式部」をとって「藤式部」と名乗っていました。
のちに源氏物語の登場人物「紫の上」から「紫式部」と呼ばれるようになりました。
一説には、藤原道長の日記『御堂関白記』に書かれている「藤原香子」が紫式部ではないかと言われています。
将軍や武士などの男性が主人公に選ばれ、戦国時代や幕末が舞台になることが多いため、
女性文化人である紫式部がテーマになるのは大河ドラマの中でも珍しいチョイスといえます。
今までに女性が主人公だった主な大河ドラマ:
『三姉妹』(1967)、『おんな太閤記』(1981)、『篤姫』(2008)、『八重の桜』(2013)、『おんな城主 直虎』(2017)
大河ドラマは歴史を扱う作品ですがあくまでドラマであり、新しい歴史解釈や架空の人物が登場するオリジナリティを含んでいます。
『光る君へ』(2024)では、「まひろ」というオリジナルの解釈の「紫式部」像で描かれるそうです。楽しみですね!
こちらの記事では、古典文学と氷の歴史について書いています。
ぜひ読んでみてください。
2022年6月号(アップUP通信)
使用画像:イラストAC、Wikipedia
出典: NHK「ブログ」「歴史に ドキリ」、古典を読む、紫式部の世界、Wikipedia
作成:株式会社ワイドソフトデザイン