アップUP通信

「成人年齢の引き下げ」(3月号Vol.125)

2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

年齢引き下げと聞くと、2016年の選挙権年齢引き下げが記憶に新しいです。(それでももう6年前の話なんですね……)
私が選挙権を得たのは20歳でしたが、
20歳の誕生日にちょうど選挙があり、成人になったと同時にウキウキ選挙に行ったのを覚えています。

成人年齢引き下げで変わること、変わらないことや、年齢に関する法律について調べてみました。

 

成人年齢引き下げで変わること・変わらないこと

成人年齢引き下げの理由は、18・19歳の若者の積極的な社会参加を促すことが目的です。
既に選挙権の年齢が18歳に引き下げられており、民法でも18歳以上を大人として扱うよう民法が改正されます。

2022年4月1日時点で18・19歳の人はその日に成人となり、4月2日以降に18歳になる人は18歳の誕生日で成人になります。

 

変わること

親の同意なしで契約ができる

 下記のような契約を行うことができるようになります。
・携帯電話の契約
・ローンを組む
・物件を借りるしかし、18、19歳の人が「未成年者取消権」(未成年が親の同意なしに行った契約を取り消すことができる権利)
の対象から外れるため、法の保護が無くなった若者を狙う悪質業者の増加が懸念されています。

 

女性の結婚年齢が18歳に引き上げ

 今までは女性の方が肉体的・精神的に成熟が早いと考えられていたため、
女性は16歳、男性は18歳からと結婚可能年齢に差がありました。しかし現在は社会的・経済的な成熟の方が重要と考えられ差をなくすことになりました。なお2022年4月1日に、既に16歳以上であれば結婚することが可能です。

 

その他、年齢制限が18歳に引き下げになるもの

・10年有効のパスポートや国家資格を取得することができる。
・少年法の実名報道禁止の対象外になる。

 

成人式はどうなる?

成人式に関する法律はなく、実施時期や内容は各自治体の判断に委ねられています。
そのため対応は自治体ごとに変わります。事前調査では、多くの自治体が「現行と変わらず20歳を対象にした成人式を行う」と回答しました。
理由として、18歳の1月に実施すると大学受験に影響するため、というのが1番多いようです。

 

 

変わらないこと

お酒やたばこ、公営ギャンブルの年齢制限は20歳のまま

健康被害やギャンブル依存症への懸念から、年齢制限はそのまま維持されます。

未成年者飲酒禁止法や競馬法などの関連法律も、年齢引き下げと同時に改正される予定です。

 

その他、年齢制限が20歳のまま据え置きのもの

・養子を迎えることができる。
・大型、中型自動車免許が取得できる。(普通自動車免許は、従来通り18歳以上で取得可)

 

 

どうして1学年は4月2日生まれからなの?

法律上、以下のように定められています。

・誕生日前日の24時に年をとる (民法など)
・満6歳に達した翌日以後(=誕生日当日)の1番最初の4月1日から入学できる(学校教育法)つまり、
4月1日に満6歳になる人は3月31日に年をとり、翌日4月1日から小学校に入学できます。
4月2日の満6歳になる人は4月1日に年をとり、
翌日以後1番最初の4月1日は翌年になるため来年度から小学校に入学できます。

どうしてこんなにややこしいの?

年齢の計算方法は、『年齢計算ニ関スル法律』の中で「生まれた日を起算日」とし、民法第6章を準用するよう定められています。
この民法第6章では「期間の計算方法」が定められており、その中で「期間は、起算日の前日に満了する」とあるため、
「現在の年齢(である期間)が終わる日=誕生日前日に年をとる」ことになるのです。

『年齢計算ニ関スル法律』は、それまで一般的だった数え年から満年齢に揃えるため明治35年に施行されました。
しかし施行後も満年齢がなかなか普及しなかったので、昭和24年に『年齢のとなえ方に関する法律』の施行で義務化されました。
これは、戦後の食品配給量が年齢で定められており、その不都合を減らすためだったそうです。

 

2022年3月号(アップUP通信)

使用画像:Flameillust、イラストAC

出典:法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」「成人式の時期や在り方等に関する分科会」、政府広報オンライン
CanCam.jpe-Gov法令検索、Wikipedia

作成:株式会社ワイドソフトデザイン

 

今回は法律のお話でした。

もうすぐ令和の世になってから丸3年が経とうとしていますね。
元号のお話についてはこちらから。

総務グループのアップUP通信4月号 Vol.90

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