ワイドの本棚

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)

こんにちは、灯油のトラックって家の周りに来ますか?
「雪やこんこ あられやこんこ」のやつです。急に寒くなった日の夕方に狙いすましたように来ますよね。雪国では重宝される存在ですが、個人的にはあれのお世話になったら「負け」な気がしてガソリンスタンドへ早め早めに灯油を買いに行く、にっしーです。
※家まで来るから手間を考えればお得なのでしょう。灯油重いですし。でも少し高い。。

それにしてもこの冬の寒さは一体何なんでしょうね。
12月上旬から一気に寒くなり、今はクリスマス寒波⇒年末寒波⇒年始寒波という寒波の波状攻撃の真っただ中でコタツから出られません(家にコタツ無いけど有ったらという妄想です)。我が家での灯油の11-12月の消費量が昨年比3倍になっていてもう驚きです。

今回は「ワイドの本棚」をお送りします。極寒の大地で戦う小説です。

戦争ものでアガサ・クリスティー賞?

ご紹介する作品は、逢坂冬馬の「同志少女よ、敵を撃て」です。逢坂さんは1985年生まれの新人作家です。第二次世界大戦のドイツvsソ連の戦争を舞台とした物語で、2021年11月17日に発行され、第11回アガサ・クリスティー賞(2021年)や2022年本屋大賞をはじめ多数のタイトルを獲得し話題になりました。

アガサ・クリスティーとは、ミステリの女王と呼ばれた作家です。
その女王の名を冠した賞を獲得した本作は、
・ソ連軍の女性だけの狙撃部隊の活躍を虚実織り交ぜた設定で描く「戦争小説」
・また戦場での命のやり取りをダイナミックに描く「アクション小説」
・それぞれの登場人物の「戦う理由」がその過去とともに紐解かれていく「ミステリ小説」
という3つの側面をもっています。
デビュー作とは思えない、かなり読み応えのある作品です。

ネタバレ無しでご紹介していきます。

ある意味難があるかもしれないが読んでほしい

この物語は、普段見るニュースとは全く違う角度から戦争の悲惨さを示唆しています。
ごく普通の生活を送っていた女性たちが否応なく戦争に巻き込まれ、苦悩の末に決意し、当時まれな女性兵士として戦っていきます。主人公はその一人です。
このように戦争ものなので重くはなってしまいますが、登場人物のキャラが立っている点でライトノベル的な読みやすさがあり、大変な人気作となっています。とはいえ半分近くの場面が戦場であり、ショッキングな描写もありますので正直に言うと万人にはお勧めできません。しかし、そういった点も戦争の現実です。本作に触れることで、現在のウクライナの報道を毎日見ている中で戦争についてまた新たな視点を持てるのではないかと思います。

戦争の爪痕

本作のテーマは、「それぞれが戦う理由」であり、さらに「それが戦後どう昇華されていくか」です。
主人公の戦う理由は「真に倒すべき敵とは何なのか」とイコールであり、ある戦いで彼女はそれを見出し、行動に移します。私には、それが大きな転機となり彼女の生き様を大きく変えてしまったように思われます。戦争の狂気が奪っていく大きなものを身近なところで表していると思いました。

長い。。けど

本作はやや長めです(450p)。読むのには時間がかかるかもしれません。
戦闘シーンは恐ろしいと言いつつもサクサク読めると思いますが、戦争の歴史的背景の記述は、歴史に弱い方は読むのが大変かもしれません。しかしそれがあるから、戦争の在り方を深く体験することができますし、それこそが本書のおすすめポイントです。年末年始など、時間を見つけて読んでみてはいかがでしょうか。

ちなみにですが、本作には名前だけですが「スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ」という人物が登場します。彼女は2015年ノーベル文学賞を受賞した実在の人物で、独ソ戦の、同じく女性兵士を題材とした「戦争は女の顔をしていない」というノンフィクション作品を書いています。最近漫画化されたのでそちらも読んでみたいと思っています。

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