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神戸好き必読の漫画『神戸在住』(木村紺/講談社)

ぷかぷかです。

今日は私の大好きな漫画『神戸在住』を紹介します。

作品の魅力

『神戸在住』は神戸の大学に通う主人公の辰木桂を中心に、その周りを取り巻く人たちの人間模様を描いた作品となっています。

本作はジェットコースターに乗っているような目まぐるしい展開はなく、日常のささいな出来事や会話を中心に神戸の街並みや文化を背景とした「ありふれた青春のひととき」が丁寧に描かれているのが魅力です。

また、主人公が通う大学や行きつけのお店など、一部には架空の施設もありますが、元町中華街や王子動物園、神戸ハーバーランドなど実在する施設が多数登場します。

さらに、この作品は1998年から2006年にかけて連載された作品のため、再開発が始まる前の「モトコー」こと元町高架通商店街や、現在は神戸阪急に屋号が変わったそごう神戸店など、今となっては少し懐かしい神戸の風景を見る事ができるのも魅力のひとつです。

そのため、神戸という街や文化に魅力を感じている人はもちろん、神戸に住んでいる人にもオススメしたい作品となっています。

阪神・淡路大震災の記録作品として

作者自身も神戸で被災した経験がある事から、『神戸在住』では震災発生から避難所での生活やボランティア活動などの当時の状況を克明に描いており、現地で何が起こっていたのかを後世に伝える作品としての側面も併せ持っています。

発生から30年が経過し、震災後の生まれの若い世代も増えてきている中で読みやすい漫画の形式で震災体験を描いたこの漫画の存在は非常に大きいと思います。

私自身も震災後に関西へ引っ越してきたので、当時の神戸がどういう状況だったのかこの作品を通じて初めて知ることができました。

私がオススメする『神戸在住』の聖地

『神戸在住』では実在する神戸の施設が多数登場しますが、その中でも私の一押しは須磨浦山上遊園のカーレーターです。

ベルトコンベア上を移動するゴンドラに乗って斜面を登る乗り物になりますが、なんと言っても特徴はその乗り心地で、「日本一乗り心地の悪い乗り物」とも言われるほどに揺れを伴い、公式サイトでも「乗り心地の悪さを楽しんで!」と宣伝するほどです。

かつてはびわ湖バレイにも存在したのですが、そちらは廃止となってしまったので現在は須磨浦山上遊園が日本どころか世界で唯一カーレーターが乗れる場所となっています。

1966年の運行開始からもう60年近くも経っており、また世界唯一という存在からいつ乗れなくなるか分からないので、稼働しているうちにぜひ一度は体験してほしい乗り物です。

ただし、その乗り心地の悪さから体調の優れない人や妊婦の方は乗車不可となっているのでご注意ください。

須磨浦山上遊園

作品情報

2015年には阪神・淡路大震災20年およびサンテレビジョン開局45周年記念事業作品として実写テレビドラマ化し、同時に劇場版も公開されました。

「劇場版 神戸在住」

こちらも興味がありましたらぜひご覧ください。

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