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ワイドの本棚

【ワイドの本棚】『ツナグ』(辻村深月:新潮文庫)

2022年2月4日  ワイドの本棚

こんにちは、ワイド7年目の歩く光合成です。

もう年が明けてから一月が経ち、月日の流れを年々、早く感じます。

本日紹介する本

『ツナグ』

あらすじ

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。
突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、
失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。
それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
(新潮社 内容紹介より)

 

この世とあの世の架け橋となる使者(ツナグ)が、死者との再会の機会を作ってくれます。

一生に一度しか死者に会えず、死者も生者に会うのは一度だけという制約があります。
また死者は自分から会いたい生者を選ぶことはできず、生者から会いたい旨を伝えられても、
死者は面会を拒否することができます。

生者にとっても死者にとっても、一回きりの機会を使って、再会するわけなので、生者、死者それぞれ特別な想いを持って会います。

生者は死者と再会することで、これからの人生を前向きに進むきっかけになることもあれば、逆に悔いを残すこともあります。
死者に会うことが生者にとって何をもたらすことになるのか?

感想

生者の生い立ちや、生者と死者の関係、なぜ死者との面会を望むのか、死者との面会の場面よりも背景を綿密に語られるため、
いざ死者の面会の場面では、まるで自分がその生者になった気持ちになります。

また死者との面会する場面は短くまとめられており、夜から日の出までしか会えないという時間の短さを表現しているのが、
より一層、死者との面会の終わりを切なくさせます。

今回4人の生者が死者との面会を果たすのですが、どの話も号泣するほど、とても悲しく切ない話でした。
死者にとってはその日しかないわけですから、この世に未練を残してる死者との面会は特に悲しい気持ちになります。
また再会により、さらにその死者への愛しさを強く感じる場面もあり、さらに切なくさせます。

○おわりに

久しぶりに感動する本を読みたいと思い、見つけたのがこの本でした。
とても心に深く印象が残るぐらい切ない話で、号泣しながら読みました。

この小説のように死んだ人には2度と会うことはできないので、自分の家族や友人、知人との時間を
もっともっと大切に過ごさないといけないなと改めて感じさせられた一冊でした。

興味を持たれた方は、この機会にぜひ手に取っていただければと思います。

では今日はこれで。ありがとうございました。

この記事を書いた人:歩く光合成

2015年入社。Visual Innovation Group所属。 趣味:散歩


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